脱炭素社会に向けて重要な既存住宅の省エネ化
今や最優先事項ともなっている省エネルギー化。
国や自治体が公共建築物をつくる場合は原則として太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーの導入量を増やすと脱炭素の取り組みを促すと明確に打ち出されています。
また、住宅においても新築住宅は太陽光の設置の義務化は見送られたものの、新築の戸建住宅に関しては既に8割が省エネ基準を満たしていると言われております。
一方で問題とされているのは既存住宅の省エネ化です。
約50,000万戸の既存住宅は全体の11%しか省エネ基準に適合しておらず、補助金や減税などの設置に向けて色々な支援策を打ち出しても、消費者自身の意識が変わらなければなかなか進展しません。
でも、既存住宅の省エネ化が日本における脱炭素のカギを握っているといっても過言ではない今、
既存住宅での太陽光発電設置のメリットはあるのでしょうか?
太陽光発電とは、太陽光のエネルギーを活用して発電を行うことはもうみなさんご存知かと思います。
自然のエネルギーを無料で活用しているのだからお得になりそう!!
そんなイメージはあるかと思いますが、実際の太陽光発電における詳しい仕組みは知らない方も多いのではないでしょうか。
INDEX
1.太陽発電におけるメリットとは?
2.固定価格買取制度と設置費用のバランス
3.新築時の設置と既存住宅に設置のメリットの違い
4.まとめ
1.太陽発電におけるメリットとは?
太陽光発電の大きなメリットとしては、やはり電気代の節約になる点があります。
特に2021年でいうと電力価格が上昇しているため、このコロナ禍で在宅時間が多いことを考えると
太陽光発電により自家発電されている住宅においてはとてもメリットを感じられるでしょう。
また、自宅で消費して余った電力については、電力会社に売却することができます。
以前よりは売電価格が下がってるとはいえ、そもそも自然エネルギーという無償のエネルギーを活用して作られているので、
節電効果による節約と同時に、売電による収入が得られる点はメリットと言えます。
さらに、太陽光発電は災害時に電力供給に困らない点もメリットとなります。
地震などの自然災害時に、電気などのライフラインが断たれてしまうことも考えられます。
しかし、太陽光発電を設置していれば、日中発電している間は電気を利用できます。
蓄電池を活用して電力を蓄積することもできるため、災害時は一時的にでも利用できる電力があることは暮らしにおいてのメリットと言えます。
2.固定価格買取制度と設置費用のバランス
「固定価格買取制度」とは、太陽光発電で発電した電気で余った分を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えています。
この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進みます。
またおおよその売電収入がどれくらいになるのかを事前に計算することで、太陽光発電設置費用対効果の予測も可能です。
最近では、以前と比べ設置価格も下がってきているので、設置費用とのバランスを考慮すると、費用面においてもメリットを得られる可能性も考えられます。
3.新築時の設置と既存住宅に設置のメリットの違い
新築時に太陽光発電を設置するメリットは住宅ローンの中に組み入れられることや、住宅の設計時に太陽光パネル設置を前提とした、効率的な屋根の形状に考慮できること挙げられます。
また、太陽光発電を設置することにより、一定の条件をクリアすれば補助金も活用できます。
後付けの場合屋根の形を変更できず、屋根の形状が太陽光発電に向いていないケースもあるでしょう。
また、太陽光発電システムはパワーコンディショナーを設置する必要がありますので、
新築時に太陽光発電の導入を図れば、こうした設備の設置も考慮した設計が可能になります。
一方で既存住宅に太陽光発電を設置するメリットとして考えられるのは、固定資産税がかからない場合が多いことです。
新築時の設置の際、屋根一体型を選ぶ場合が多く、そうなると固定資産とみなされて固定資産税がかかります。
既存住宅では一般的に、屋根の上に架台を設置して取り付ける場合が多く、その場合は一般的に固定資産税はかかりません。
4.まとめ
太陽光発電設置については、現在の設置状況から見ても明らかに新築時の設置が多く見られます。
今後の国の政策次第で今後、既存住宅への設置も増えてくる可能性はあるものの、現段階では既存住宅への設置に関しては、
あまりメリットが感じられない状況であると考えられます。
もし、既存住宅へ太陽光発電を設置を考えた場合は、屋根のメンテナンス工事のタイミングと合わせると施工費用を抑えられますのでお勧めです。
太陽光発電を維持するためのメンテナンス費用は、屋根材のメンテナンスも考慮して、長期間のメンテナンススケジュールの中で費用面もしっかり抑えておくといいでしょう。